わたふぁ

誘惑のアフロディーテのわたふぁのレビュー・感想・評価

誘惑のアフロディーテ(1995年製作の映画)
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ニュースになって久しいが、MeTooやTimesUpで今、実の家族や関わった俳優たちから性的虐待の疑惑をかけられているウディアレン。彼は死ぬまで十字架を背負っていかなければならない状況に陥っている。大人の男としては非常識な人物のようだけど、唯一無二のコメディ作家であることに変わりはない。これまでたくさん楽しませてくれたことも事実。
本人は沈黙し、なんとしてでも生涯現役を貫くようだし、こちら側も作品は作品、私生活は私生活と割り切って見る必要がありそうだ。
今作は初見だったけど、なかなかおもしろかった。

ウディアレン扮するライターの男レニーは、子供好きでも何でもないのに妻が切望するので養子をもらうことに。もらったらもらったでレニーは子供を溺愛するようになる。4才くらいになった頃、ほんの興味から実母の居場所を突き止めてしまうレニー。それがまた容姿端麗な美女(オツムは弱い)だったもんだから、さぁ大変!というお話。

ただそれだけのドタバタ劇ではなく、時折、隙間にナゾの古代ギリシャ劇のパートが挟まります。神の従者と言われる合唱隊コロスが、レニーの脳内で繰り広げる“理性と欲望の戦い”をオペラ調に高らかに歌い上げるのだけど、内容は薄っぺらいから、これが何とも滑稽で。最終的には現代的にコーラスラインばりのフィナーレを迎えます。

キモのちっちゃい男と壮大なギリシャ悲劇。
繊細かつ大胆なウディアレンらしいコメディ。
監督が主演務めてるだけで嬉し楽しです。

...あぁしかし。ウディアレンのことはもう単に“神経質で偏屈で可愛らしいインテリ爺さん”とは思えなくなってしまったな。ハリウッド界隈の芋づる式に出てくるMeTooにはもうガッカリする。映画業界自体が“偽りと夢と現実”が入り混じった世界で、何が本当なのか特にわかりにくいけど。
訴えている方が100%正しいってこともないし、お金目当てだったり便乗商法の可能性もゼロとは言いきれないけど、ウディアレンの場合は、うーん。何十年もキャリアを重ね続けているのが逆に不思議と言われるレベルだからなぁ。残念。