てるる

荒野の七人のてるるのレビュー・感想・評価

荒野の七人(1960年製作の映画)
3.5
言わずと知れた「七人の侍」ハリウッドリメイクにして西部劇の代表作。

元祖ハゲ界のスター、ユル・ブリンナーが「七人の侍」を観てリメイクを熱望したというだけあって、自身が主演、メンバーには当時のハリウッドを代表するスターが集結。
監督には「七人の侍」の大ファンであるジョン・スタージェスを起用。
これで成功しない訳がない。

でも「七人の侍」好きとしては不満点も多数あるので列挙。

以下、ネタバレ含みます。




・オリジナル3時間超えのところ本作は2時間ちょいにまとめたため、各キャラの各キャラの掘り下げが足りず、参戦する動機付けがイマイチ。
そのおかげで、村人に裏切られても命を懸けてまで戻る理由がよく分からん。

・オリジナルのリーダーである勘兵衛は軍師タイプのため、少人数で村を守るために作戦を張り巡らせて奇襲作戦や籠城戦を成功させるが、本作のリーダー・クリスは多少村を防衛するものの、とりあえずドンパチやってるだけなので戦略的な面白さが薄い。

・それぞれの死に様があっさりしすぎ。記憶に残るのは子供を守ったブロンソンくらい。

・敵ボスがあまり悪い奴に見えない。意外と律儀にガンマン達を帰すので、むしろ戻ったガンマン達のほうが若干恩を仇で返した感。

・オリジナルの「最後は農民が勝った」感が薄く、「また生き残ったな」に表れる去り行く者、消え行く者の哀愁がが感じられない。

などなど。

ただし、それはやはり「七人の侍」と比較するからであって、このプロットをアメリカで成功させるために考え抜かれた結果なんだと思う。

アメリカ人には理解しづらい「侘び寂び」の感覚や泥臭い武士道よりも、分かりやすさやスタイリッシュなカッコ良さを優先した結果。
オリジナルが面白いからとりあえず適当に作り直せばうれるだろ的な感覚ではない。

逆に本作のリメイク「マグニフィセント・セブン」のほうが、より「七人の侍」に近い感じになってるのが面白い。

何はともあれ、あの名曲が流れりゃテンション上がるし、大スター達の存在感を味わうだけでも観る価値はある。
特に参戦の意思を言葉ではなく指だけで伝えるシーンはたまらなく好き。
てるる

てるる