みんと

野のユリのみんとのレビュー・感想・評価

野のユリ(1963年製作の映画)
4.1
シドニー・ポワチエが黒人俳優で初めてアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品。

こう言うのが語り継がれる名作なんだろうなあ、、、
いや、語り継ぐべき作品だと思う。

シンプルでじわ~っと沁みる。
性別、人種、宗教、全ての垣根を越えて人に優しくそっと語りかけると言うか。

アリゾナの砂漠を放浪中の黒人青年ホーマー・スミス。水を借りた事から一軒家に暮らす5人の修道女と知り合い、屋根の修理を頼まれ、最終的に教会を建てちゃう迄のお話。

ポワチネ演じるホーマーのあっけらかんとした明るさ、人情味があって憎めない絶妙なキャラが観てるだけで自然と頬が緩む。また頑固だけど意外と押しに弱いお人好しぶりがちょっと可愛い。

一方、有無を言わせないマリア院長の強引さは甚だ鼻につくし、ホーマーにとってはいけ好かないオバサンでしか無かったはず。
それがあれよあれよと言われるがまま、結局は教会建設へと導かれるんだからなかなかの強者。
決して媚びることなく、ブレない信念と一貫性を持った姿勢は分かり合うほどにより強い信頼にも繋がり心を動かされるのかも知れない。

ニック・フロスト似のマスターが後半効いてくる。一歩間違ったらガチのコメディに傾きそうでいっそポワチネにサイモン・ベッグパート演じてもらってコンビで何か撮れそう...なんて思ったり。笑

...それにしても地味過ぎるジャケが勿体ない。そしてさも黒人差別を扱った重い作品との誤解を招き兼ねないのが勿体ない。

出会うはずのない者同士が、1つの目標を目指す過程で理解し合い成長する。決して重苦しくなくユーモアを交えて爽やかに優しく。そして個々の違いを肌の色ではなく文化の違いで表現する、、、

万人の心に響く、ふと優しくなれる、いや優しくあろうと思えるいわゆる心の浄化作用と癒し効果絶大な作品だと思う。
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