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赤い手のグッピーのpikaのレビュー・感想・評価

赤い手のグッピー(1944年製作の映画)
3.5
初ベッケル。
フランスの田舎町に住む狭小的なグッピー一族。その昔一族から逃げ出した母が連れて行った息子が成長し、初めて訪れたその日に事件が起きるというサスペンスを軸にした人間ドラマ。

腹に一物抱えているグッピー一族の面々が織りなす不穏な空気がミステリー然とした緊張感を煽り、事件が起きるとドキドキハラハラとした緊迫感に包まれ、小憎たらしい一族の連帯感や薄気味悪さから滲み出る愛憎がドラマを生み、終盤に向けて高まる緊張感とラストで解き放たれる爽快感!という映画を見て感情を堪能するという娯楽性を満遍なく詰め込んでいて面白い。

グイグイと意味深な動きで人間関係の入り乱れや事件の全貌を表現するカメラワーク、余韻を残して印象付けるシーン転換など画面構成が延々と面白いし、登場人物が多く田舎町で風景も変わらず見辛いところを見事に整理整頓させ、それぞれの個性とドラマをストンと理解させる巧みな演出も凄い。
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