原田美枝子目当てで鑑賞。
娘を愛す事が出来なかった母親と、母親からの愛を受けられなかった娘の話。
日本アカデミー賞で作品賞や脚本賞を受賞、そして母親役と娘役の一人二役を演じた原田美枝子は最優秀主演女優賞を受賞した作品。
幼い照恵は父親の文雄と共に、母親の豊子の元から離れて暮らす。
離れていく娘に対して、狂気と言っても過言では無い暴言を吐く豊子。
舞台は現代。
ひとり娘を育てる照恵は、亡き父親の遺骨を探す為、区役所等色々な場所を訪れる。
照恵の額には、かつて母親に虐待を受けた時の傷痕が残っていた。
孤児院に長く預けられていた幼い照恵の元に、青天の霹靂とばかりに、母の豊子が現れた。
冷たい態度で照恵を連れて行く豊子は、家の中に入る。
そこには新しい父と連れ子がいる。
照恵を迎え入れてくれたとは言え、決して愛情を注いでくれない母親がいる故、肩身が狭い照恵。
とある日、友達の縁日に行く為、お小遣いを貰えないかと手を出すと、豊子はその手の平に火の付いたタバコを押し付けた。
その後も豊子による非常なまでの虐待は続いた…
一人二役を演じた原田美枝子だが、とにかく豊子を演じている時が怖い。
トラウマレベルの怖さと太々しさで、一生忘れられないキャラのひとりになってしまう。
ここまで声の出し方や歩き方、たたずまいを変化出来るのは凄い。
ストーリーの構成も大変面白く、現代と過去の行き来の仕方や、髪をとかすというさりげないシーンを伏線として使っているあたりが良かった。
終始理不尽に見える豊子だったが、なんやかんやと愛を乞う姿は、彼女の出生をなんとなく匂わせているのかなと感じる。