柏エシディシ

グリーン・デスティニーの柏エシディシのレビュー・感想・評価

グリーン・デスティニー(2000年製作の映画)
4.0
アカデミーでのアジア系監督の台頭が注目されて、改めて観たいと思った作品。
20年前、中国資本台頭前夜、非英語でしかも武侠アクションという内容でオスカー作品賞ノミネート。
こちらも当時はものすごい快挙だったのだ。
(当時、日本語が堪能なエドワート・ノートンが本作の邦題を聞いて「ソレハヘンデスネー」と苦笑いしているインタビューも思い出してみたり。酷い邦題よねw)

「マトリックス」シリーズの特大ヒットという呼び水もあり、華麗なワイヤーアクションや舞踏の様なソードファイトに大きな注目が集まった作品だが、今見ると、抑圧された女性たちの解放と共闘というテーマもしっかり根底にあり、単純にオリエンタルなルックの目新しさだけで評価された訳では無いことを確認出来た。
いろいろ批判もあるアカデミー賞だが、こういった先見性はやはり見逃さない。
異邦人からの視点で欧米の文化を批評してみせる様な家族ドラマ作品などを撮っていた台湾出身のアン・リーが、こういった活劇を撮る面白さは、そのままクロエ・ジャオの次の一手にも通じるものがあり、いよいよ「エターナルズ」が楽しみにもなってくる。

チョウ・ユンファ、ミッシェル・ヨーという剣の達人として有無を言わせない説得力と熟練のドラマ俳優としての佇まいを兼ね備えた2人は見事。
そして、痩身で男たちをバッタバッタと薙ぎ倒すチャン・ツィイーにはアジア系だけでなく世界中の女の子たちや女性をインスパイアしていく永遠のヒロインとなった。
往年の武侠ヒロイン、チェン・ペイペイが悪に堕ちた女剣士を演じているのが、これまた粋な計らいで、その哀しい顛末も泣かせる。
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