サマセット7

スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還のサマセット7のレビュー・感想・評価

3.8
スターウォーズシリーズ公開順第3作品目。
作中時系列では正伝の6作品目。
製作総指揮にジョージ・ルーカス。
監督は「針の眼」のリチャード・マーカンド。
主演はオリジナル三部作通じてマーク・ハミル。

遠い昔、はるか彼方の銀河系で…。
銀河帝国は銀河皇帝と暗黒卿ダース・ヴェイダーの師弟の指導のもと、宇宙要塞デス・スターの再建を図り、銀河の統一的支配まであと一歩のところまで迫っていた。
一方残された最後の希望ルーク・スカイウォーカー(ハミル)は、前作で悪漢ジャバ・ザ・ハットに捕らえられたハン・ソロの奪還を目指して、故郷の星タトゥイーンに帰還していた…。

エピソード4から始まるいわゆるオリジナル三部作のラストを飾る作品。
前2作には及ばないものの、世界的に大ヒットを記録。
アカデミー賞1部門受賞。
批評家の評価は低くはないが、前2作よりは高くない、という微妙なところ。

今作の監督は当初スティーブン・スピルバーグが務める予定であったが、全米監督協会とジョージ・ルーカスが揉めたため、実現せず。
すったもんだの挙句、リチャード・マーカンドに落ち着いた。

今作のストーリーは大きく3パートに分かれている。
最初のパートは、惑星タトゥイーンにおける、ハン・ソロ奪還ミッション。
ジャバをはじめ、エキセントリックな異星人が多数登場。
怪物ランコアやサルラックも登場し、シリーズ中でもSFアドベンチャー感が強いパートになっている。
このパートの見どころは、前作からさらに成長したルークのジェダイの騎士としての大活躍である。

2つ目のパートは森の惑星エンドアでの、デス・スターの防御シールド発生装置を破壊するための惑星潜入ミッション。
エンドアでは、クマ人のようなイウォーク族が跋扈しており、異文化交流譚のような雰囲気がある。
これまでコメディリリーフだった通訳ドロイドC3POの思わぬ活躍?が見どころ。
後のイウォーク族の活躍を思うと、銀河はC3POのおかげで救われたと言っても過言ではない。
このパートに入るところで、いざ決戦の時!と盛り上がったにもかかわらず、イウォーク族との交流が始まり、奇妙な停滞感がある。
本作の評価が分かれる由縁かと思われる。
個人的には嫌いじゃない。

3つ目のパートは、惑星エンドアの地上の防御シールド発生基地と、惑星軌道上の再建中のデス・スターでの、帝国軍と反乱軍の最後の戦い。
ルーク・スカイウォーカーは、前作で明らかになった運命的因縁の相手ダース・ヴェイダーと再び対峙し、また、ルークをフォースのダークサイドに落とさんと企む銀河皇帝と対決する。
このパートは、善と悪を巡るルークと皇帝の心理戦がメインとなる。

何にしろ、三部作を綺麗に完結させたことが今作の最大の功績であろう。
また、多数の謎が残りダース・ヴェイダーとルークが直接は戦わないエピソード4、ひたすら帝国から逃げるのみだったエピソード5と比較して、すべての謎が解け、デス・スターと皇帝の打倒という目的がはっきりした今作は、わかりやすくラストのカタルシスが大きいエピソードと言えるかもしれない。

今作で皇帝とダース・ヴェイダーは、ルークをフォースの暗黒面に落として仲間にしようとアレコレするのだが、その具体的な機序は、オリジナル三部作だけ見てもよく分からない。
そのため今作単体で見ると、今ひとつルークがどうピンチに陥っているのかが分かりにくいであろう点が残念ポイントか。
この点はエピソード1から3を見てから今作を見ると、印象が変わってくるように思う。

いくつかの伏線が回収され、最終盤のルークとある人物の対話は感動的である。

今作のテーマは、やはり最後のパートで語られる善と悪の間で揺れる人間の葛藤にあろう。
このテーマは、シリーズ通して一貫したテーマでもあり、特にエピソード2と3を踏まえて観ると、今作である人物が辿る心理の変遷は感慨深い。
やはり、円環構造をなすルーカスのシリーズ構想は、尋常なものではないと思わせられる。

歴史的シリーズの完結編。
もはやエピソード1から3の記憶も曖昧なので、今作を見るとなおさら、再視聴が楽しみである。