垂直落下式サミング

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーンの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.7
私が3D映画処女を捧げた映画。
倒壊するビルの内側にいる人の視点をとらえていて、同時多発テロ事件から10年目という慰霊の年にこんなのやっていいのか?と思ったものの、あそこは3D映像の体感性が余すところなく発揮されたシリーズ指折の名場面だ。同時期にみた『マイティソー』は、動作が直線的・平面的すぎて3D効果が感じられなかったが、本作のアクションのアクロバットさは、なかなかどうして3Dと好相性であった。
予告であれだけ強調してた月の裏側のエピソードが本筋とあんま関係ねえとか、一作目からの古株キャラが死ぬ場面素っ気なさ過ぎとか、リベンジではあれほど活躍したツインズがいないとか、相変わらずメガトロンがアホとか、チェルノブイリの真相として語られることが良識を疑うとか、やっぱりサムの彼女はミーガン・フォックス姐御のほうがいいとか、このあたりの不満点はどうでもよくなるくらいアクションに次ぐアクションのつるべ落ちだ。
ロボットとはいえ暴力表現が病んでいて、善玉のリーダーが鋭利なトゲのついたメリケンサックで敵の腹部を抉り込み、目玉を握り潰し、頭蓋に手斧の一撃を加えて、えいや!と脊髄をぶっこ抜く!ああ、もう、ひどい!
さらに、本作は比類なき老害駆逐映画であり、妥協のない年配者への暴行をとらえている。ディセプティコンの軍法は機能しておらず、降伏を宣言し捕虜となったキューは射殺され、善玉のリーダーであるはずのオプティマスプライムは、不意打ちによって戦意喪失しているセンチネルプライムの命乞いを一蹴し、「弾はまだ残っとるがよう」と冷酷にも彼のドタマをブチ抜くのである!儒教的思想に一石を投じる老人虐待である。
時代遅れの鉄屑め!今、スクラップにしてやるぞ!こんな悪役みたいなセリフじゃなくて、ここでオプティマスに「アイアンハイドの無念を知れ!」くらいのことを言わせてくれたら、もうちょっと素直に好きになれるのにな。そういうの関係ないのが、マイケル・ベイの良さなんだけど。