空海花

一番美しくの空海花のレビュー・感想・評価

一番美しく(1944年製作の映画)
3.5
黒澤明の監督2作目で、戦時中に制作された戦意高揚映画。
しかも女性映画であるということも珍しい。
戦時下軍事用レンズを作るために働く勤労動員された女子挺身隊を描く。
監督・脚本黒澤明。
1944年当時クレジットタイトルはなかったが、戦後の再公開時に資料より作成、付け加えられている。
当時は映画もその名の通り配給か。
主演は後の黒澤夫人となる矢口陽子。
挺身隊の組長渡辺ツルを演じる。

美しさとは何か。
お国と兵隊のために身を粉にして働くのが「一番美しい」とされた時代。
滅私奉公的と言い捨てることも一理あるが、私には正直それはし難い。

実際には不満や抵抗がない訳ではないと考えるのが普通なのかもしれない。
それをないものとして美化しているのかもしれない。
でも、当時の日本人が叩き込まれた美徳として理解するのには役立つし、
その曇りのない精神が決して汚れているとは言えない。
レンズ一つひとつの品質にこだわるのは今も日本人の美徳ではないだろうか。
そこに美しさを見てとってしまう私がいる。

渡辺ツルのラストの長台詞
そして流す涙はあまりにも美しく
そのタイトルを思い唸った。

“頑張って”
今だと時にその言葉はあまり推奨されないところもある。
でもそんな言葉にも美しい側面はあるのだ。


2021レビュー#199
2021鑑賞No.433


黒澤映画続けて観たので連投します🙇‍♀
空海花

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