青二歳

一番美しくの青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

一番美しく(1944年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

バレーボールシーン楽しい。1944年黒澤明。40年代でこうしたカット多用は自分の浅学の限りでは珍しい印象。戦中の女子挺身隊のお話。
ただ軍や情報局が関わった国策映画の中ではコレどうも巧くない。日本の国策映画では"敵"が出てこず…痛快劇!敵をコテンパンにしてやるぜ!みたいなのは見当たらないんです。この女子工員のような理想像を理念的に描くので、個の発露は最小限に止められるんですが、それがリアリティあって面白いん。
だって人間って建前と本音が重なって生きてるじゃないですか、表からは建前しか見えないじゃないですか。でもふっと本音が見えたり漏れたりして、そこで触れ合うものや敢えて触れないように大切にするものってあると思うのです。
国策映画で描かれる徹底した理想のおかげで、少しだけ垣間見える本音。そのバランスにグッと掴まれるドラマがあります。
しかしこの映画はそうでなく…つまらにゃい…ドラマとしてはその本音というのが"疲労"キッカケで漏れるんですね。そんで静かな衝突が起こって、終盤に弾けて…と。そしてその後になんか急に一致団結しちゃったりして。
その本音の衝突も"理念的"に感じてしまったので、個人的には物足りずでした。国策映画と期待し過ぎだったか…なんか映画法ないし情報局の指針に素直に従っている印象。映画法下はもう少し工夫があったり、エンタメに仕込んだり一捻りあるものが多いので、却って物珍しい。
でもこの物資不足にこうした撮影手法に挑戦していたのはやはり見ごたえあります。