郷里を離れ寮生活をしながら工場で働く女子工員たちの姿を描いたヒューマンドラマ。
女優たちを実際に入寮させ、工場で働かせたという黒澤は、女優の雰囲気を取り払った彼女たちの姿をドキュメンタリータッチで描く。
生活のために働く現代の女性社員とは違い、戦争中、お国のために軍需工場で働く女子挺身隊員で、強く逞しい姿が映し出される。
増産強調運動を告げる所長は、産業戦士魂を工員たちに植え付け士気を高める。
「人格の向上なくして生産力の向上なし」
過酷な生産目標に向かって一心不乱に働く女性たち。生産量を表すグラフは、彼女たちの努力と疲労も表している。
怪我や病気で仕事を休む工員は、一刻も早く回復して工場に戻る事を願い、毎晩熱が出る工員は、それを隠して働く。
お国のためだ。
鼓笛隊で軍歌を演奏する姿、バレーボールで息抜きをする姿、そして働く姿。彼女たちは健気で優しく美しい。
後に黒澤明の妻となる矢口陽子が責任感のある隊長を務め、一人深夜まで働く姿と、顕微鏡を覗く彼女の瞳から溢れる涙を黒澤明は「一番美しく」映し出した。