1996年に起こったティビリヌの修道士殺害事件を、誘拐された修道士たちの視点で描いた作品。
耐える、守る、禁欲する、そして、そして神をひたすら愛する
どんなに妨害に合おうとも、それを続け使命を全うすることが条件だだったとしても、この世に存在出来なくなってしまったら一体なんの意味があるのだろうか?
遠藤周作が「沈黙」でも問いかけていたように、受肉は「生きていること」に価値があると、結論づけたクリスチャンであったが、結果的にはその言葉も虚しく宙に浮くのみ。
実際誘拐され、声明文を読み上げさせられるシーンもあるが、実際はもっと過酷なものだったのかもしれない。
事件の真相はまだ明らかにはされてないが、当時のフランス政権の混乱がなければこの結果にはならなかったのかもしれないと知って複雑な気分にさせられる。
イスラム教、キリスト教という対立という事ではなく、描かれるのはあくまでも神に仕えた彼らの生き様。
これをどう取るのかは観るものに委ねられるが、ラストの真っ白い雪のシーンが虚しく美しく脳裏に深く残って離れないのは彼らの神への深い愛の残り香が強かったかもしれない。