しぇんみん

キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャーのしぇんみんのレビュー・感想・評価

3.8

「君は弱い。だから力に敬意を払うし、その価値を知っている。」

旧き良き正義(アメリカ)の体現者。

舞台は、第二次世界大戦中のアメリカ。

体格的にはひ弱だが、頭脳明晰で類稀な正義の魂を持つスティーブ・ロジャース。

戦禍に苦しむ人々の盾となるため、彼は何度も入隊検査を受けるが毎回不合格となっていた。

そんな彼が「戦略科学予備軍(SSR)」の科学者アースキン博士の目に留まり、「スーパーソルジャー計画」の対象者となる。

「超人血清」の投与による人体実験。

それは投与された者の筋力と体格、そして持って生まれた素養を強く強化する。

博士はスティーブの明晰な頭脳と強い正義の心を見抜いていたのだ。

こうして彼は、超人的な肉体と崇高な精神を手に入れ、キャプテン・アメリカとして活躍することとなる...。

キャプテン・アメリカのコスチュームと盾は星条旗そのもので、この点だけを見れば、現代的な戦争・紛争に直面した世界では受け入れられずらい特徴だとは思う。

だが、苦悩する近年のヒーロー感とは無縁な、スティーブ(=キャプテン・アメリカ)の快活で純粋な愛国心、そして只管正しくありたいと願う旧き良きヒーロー像をしっかりと描いている点には好感が持てる。

映画『アベンジャーズ』実現に向け制作された物語とは言え、単なるキャラクター紹介に終わらず、愛すべき"キャップ"の能力と素質を知らしめるに十分な内容となっている。

チャラくて皮肉屋で、世間の酸いも甘いも噛分けたトニー・スターク(=アイアンマン)とは正に対を為しており、『シビルウォー』への布石となっているかのようだ。

物語は、未完成の超人血清投与により「悪の面」を強化された上、真紅の髑髏状の醜悪な容貌に変化してしまったヨハン・シュミット(=レッドスカル)との対決を骨子としている。

レッドスカルは、以降のシリーズで頭角を現す悪の組織「ヒュドラ」の創始者でもある。「ハイル、ヒュドラ!」が合言葉。

また、70年前の技術にしてはオーバーテクノロジー過ぎな兵器が多く登場するが、ご愛嬌ってことで。

物語のラスト。
"キャップ"は「ヒュドラ」が放った爆撃機から人々を救うため、身を挺して...。

そして彼は後の世で目覚め、「アベンジャーズ」の一員として活躍することとなる。いい意味で「時代」から隔絶した存在として...。

是非一見ください。

ハナマル!

2017/04/28
2019/05/30 一部修正
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