KnightsofOdessa

風雲のチャイナのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

風雲のチャイナ(1933年製作の映画)
2.0
No.66[いやぁそんなんじゃ宣教師は負けないでしょ] 40点

スタンウィックの無限の気高さと美しさを魅せたキャプラでもキャリア初期の地味な作品。アメリカ人宣教師の白人妻が中国人将軍に助けられて籠の鳥にされるという話である。西欧の押し付けがましいキリスト教布教を中国人にも行うというわけでそこらの映画と変わり映えしないんだが、今回は洗練された中国人将軍を前に浅薄なキリスト教武装が負けるという構図になっている。確かにこの時代にしては新しいんだが、あまりにも単純化しすぎていて結構寒い。宣教師なら"信じた人が裏切りました"ってくらいじゃ負けないぜ。もっと聖愚の極地まで行ってくれよ。将軍が自死を選ぶという超皮肉なラストは良いけど。

しかも、そこに中国人との恋愛要素みたいなの持ち込んで終結させるのも気に食わない。身を固めていたキリスト教的な信心が崩されたら惚れちゃうんすか。それは、彼が西欧的に"洗練されていた"から?そもそも、なんで信心の内側に貞操が入ってるんすか。

こんなセリフが印象的だった。"何千年という歴史のある中国を君たちは一夜で変えようとする。そんなこと出来るはずがない。生きてるだけで幸運と思え"ほんまこれって感じ。信じるものは個人の自由だけど、それを他人に押し付けるのは勘弁してほしいし、土足で他国に乗り込んで(しかも見下して)押し付けるのはもっての外でしょう。
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