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九月に降る風のchakoのレビュー・感想・評価

九月に降る風(2008年製作の映画)
3.8
1996年の台湾を舞台に、多感な高校生活を送る男女9人による青春映画。

原題「九降風」とは、舞台となる台湾の新竹に9月に吹く季節風のこと。
その時期、台湾では卒業や入学シーズンと重なることもあり、日本でいう桜のように青春の旅立ちと別れを象徴する代名詞となっているそうです。


退屈な授業を抜け出したり、夜の学校のプールに忍び込んで全裸で飛び込んだり、ケンカをして、恋をして・・・
他愛もない悪ふざけに無邪気に笑い合いったあの頃、そんな日々が、その友情が永遠に続くと信じていた。

けれど、"ある出来事"をきっかけに次第に彼らの友情は崩れていってしまう。

「あの頃、君を追いかけた」のような爽やかな青春映画かと思いきや、青春なんだけれどそれよりも何て言うか・・・痛い。
痛くて、脆くて、儚くて。
ストーリーも静かで淡々と進んでいき、正直言って地味と思う人もいるかもしれない。
けれど、台湾映画独特の瑞々しさがあって、青春の苦さと煌めきを切り取ったような作品でした。

タバコを吸ったり、お酒を飲んだり、どんなに悪ぶってみても彼らはまだ10代で、その中身はガラスのように繊細で脆い。

これを彼らと同じ年代に観ていたらどう感じたかは分からないけれど、彼らの年代をとっくに過ぎて大人になってしまった私には10代という多感な頃を生きる彼らが良くも悪くもあまりにも真っ直ぐすぎて、時にバカだなぁと思ったり、そして観終わった時にはとても愛おしく思えました。

また本作は監督自身の物語でもあるらしく、プロ野球やポケベルなど、90年代の台湾文化や時代背景を感じ取れるのも興味深い。そして、日本文化はやはりAVなのね・・・(笑)

主演はリディアン・ヴォーン
私は「モンガに散る」で知った俳優さんなのですが、 イギリス人と台湾人のハーフで、台湾のトム・クルーズなんて言われているイケメンさんです!
本作では女好きなみんなのリーダーという役を好演。「GF*BF」といい、女好きでもこの人が演じると全く嫌味がないのがすごい。

それから気になったのが、リディアン・ヴォーン演じるイェンの親友タンを演じるチャン・チエ
本作で初めて知った俳優さんなのですが、口数も少なく、いつもみんなから一歩離れて外から見てるようなタイプだけど、細かな視線や表情から感じ取れるものがあり、ラストシーンの彼の表情が印象的でした。

横顔や線の細い感じが王道イケメンのリディアン・ヴォーンよりも個人的には好き。メイキング映像ではキスシーンを恥ずかしがっていたのが可愛くて、かなり好感度上がりました(笑)

それと、台湾の青春映画お馴染みのスクーターを走らせるシーンはなんであんなに爽やかなんだろう。風で髪がなびく姿も爽やかすぎる!

ちょっと痛々しい青春映画やアジア映画好きの方にはぜひ観てもらいたい作品です。