青

ほしのこえの青のネタバレレビュー・内容・結末

ほしのこえ(2002年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

新海誠を批判しよーというノリで気軽に見たら、めっちゃいいじゃんコレ。一体どうした。

メッセージを発信した時空と、メッセージを受信した時空に隔たりがあることを、SFロボット作品に絡めちゃうのが面白い。
メッセージを送信するミカコは、自分が生きているのか、メッセージが届いているのか、ノボル君が自分を覚えているのかさえも分からない未来に向けてメッセージを発信する。一方のメッセージを受信するノボル君にとっては、ミカコはどんどん思い出の彼方の存在になっていく。たまに届くメッセージは、たった今発信されて届いたメッセージではない。だから、現在どこかにいるであろうミカコを思い出すのではなく、過去にメッセージを発信したミカコを想うことしかできない。同じ時を共有できない悲劇ですね。「地球と宇宙に引き裂かれた恋人みたい」。
想いを確認しようにも確認できないし、すれ違うにもすれ違えない。何も出来ない2人。何もできないから、メッセージの送受信に想いを込めて、最終的に「ここにいるよ」としか言えない。「ここにいたよ」でも「ここで待っているよ」でもないのがミソですね。過去形でも未来形でもなく、2人は異なる時空で現在を生きているんだという。
見終わったあとも切なさが続くのがよい。淡い色合いなのに視覚にモロに訴えてくる綺麗な背景が切なさに拍車をかけている。

半年で冥王星に行ける技術があるのに、電波送信に1年もかかる世界線って一体なんだ?とは思う。
コックピットの設定とか、中学生を狩り出すこととか、謎の生命体とか、それを静粛する描写とか、細かい光や止め絵の演出とか、まんまエヴァじゃん!というツッコミもある。
でも設定が面白いからいいや。
青