まぬままおま

少林寺のまぬままおまのレビュー・感想・評価

少林寺(1982年製作の映画)
3.5
壮大なロケーション、大人数の戦い、アクションが凄い!
映画でアクションを撮るためには掛け合いが大切だと思うが、少林寺拳法における型とその洗練さが掛け合いを純度の高いものにしている。それをカメラで見事に収めているんだから凄くないわけがない。

***
『男よ、映画は君の全てを許す』
そんなタイトルのショート・ビデオをレオス・カラックス監督は撮っているらしい。
本作に登場する男たちも全て許される。
掟があっても、少林寺のために、愛する女のために、正義のためであれば、殺生も暴力も肉食も許される。しかもそもそもの闘いの発端である人民の殺害は映画的な動機として生きられる。主人公もそうだ。無謀なアクションを起こそうと映画の展開として面白がられる。男たちは許される。死や惨く殺されることさえ、殉教として、映画的な美しさとして理解される。

ポスト・トゥルースな現代において正義が無効化されている。そんな中で本作のような正義の体現は爽快さをもたらす。だがそこに忍び寄る男たちへの許しに言い得ようのない違和を感じることもまた事実なのである。