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アギーレ/神の怒りのadeamのレビュー・感想・評価

アギーレ/神の怒り(1972年製作の映画)
3.5
70年代にドイツの若手映画作家たちが台頭しニュージャーマンシネマと総称されましたが、中でも特異な存在感を放ったヴェルナー・ヘルツォーク初期の怪作。
16世紀に南米を武力で制圧していったスペインの一行が黄金郷エルドラドを目指し崩壊していく様を描いた欲望と狂気の物語です。
冒頭の危険な山道を列になって登る一団をスタンダードサイズの画面を目一杯使ってとらえたカットから素晴らしかったです。
画面を通じて湿気が伝わってくるような密林と濁った川を荒っぽいカメラワークでとらえ、そこで粛々と繰り広げられる野蛮な振る舞いは強烈なインパクトでした。
どこにも出口が見えない状況は悪化の一途で、その渦に飲み込まれながら自意識を肥大化させていく様を内面描写ではなく、異様な表情と佇まいで表してしまうのが凄まじかったです。
語り口は決して流麗でなく、作りも乱雑なのですが、作り手も含めて狂気を発している恐ろしい作品でした。
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