4作も作られたエアポート・シリーズですが、自分はなぜか縁が無く、途中から観るのもな~、と搭乗をためらう内にいつの間にか21世紀(苦笑)。
長いエアポケットから抜け出し、ようやくこの、記念すべき第1作を観ることが出来ました。
近年のパニック大作を見慣れた眼で観ると、序盤は豪華キャストの割に地味な展開。
まあ、これはこれで、空港内の人間模様としてほのぼのとしていいかな…と思っていたら、後半のギアの上げ方がスゴい。一気にフルスロットル。
メリハリというか、緩急の付け方が巧みですねえ。
昨今のエンタメ作の、”見せ場を全編に並べすぎて逆に単調になっちゃう”悪癖とは対照的であります。
最初は空港内の人間ドラマで各キャラクターを掘り下げ、中盤からは飛び立った機内に焦点を絞ってサスペンスを高め、終盤は再び空港と機内の立体的な構成により満腹感の高い着地をする…という構成がお見事。
物語の性質上、電話や無線で登場人物たちが会話するシーンが多いのですが、カットを替えずに画面を分割したり挿入したりして、同じ画面内に会話する両者を収めることで、緊張感を持続している工夫も光っています。
あと、エンディングの苦みに味がありますね~。
事件が解決して、すべてが丸く収まる…のではなく、キャラクターたちの諸問題はほとんど解消せず、むしろ混迷の状態に。
そして(ビターな)人生は続いていく…というオトナな着地。いかにも’70年代らしい、成熟したエンタメ作でありました。