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若草の頃のrsのレビュー・感想・評価

若草の頃(1944年製作の映画)
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ジュディ・ガーランド演じる次女を中心に、とある一家が過ごす四季を描く。めぐる季節それぞれを示すアイキャッチの挿絵が美しくて、ポストカードに欲しいくらい。

共に食卓を囲む家族像、友と夜を踊り明かす青春、甘酸っぱい恋心、生まれ育った土地への愛着。
さまざまな絆が人々を繋ぐ。素晴らしいミュージカルナンバーの数々が物語を紡ぐ。
戦時中のアメリカで公開された本作が、当時鬱々とした人々の琴線に触れたというのも分かる気がする。

姉妹が万博を心待ちにして歌いあげる「Meet me in St.Louis」。
次女が羽織もの(当時流行したキモノの袖を、暑いので肩まで捲り上げている)を翻し、ドロワーズからすらりとした脚を覗かせて踏むステップがとても軽やか。
そのあと姉に寄り添って歌うのだけれど、壁に飾られた男女の彫刻に対するようにポーズをとるのが印象的。1900年頃の人々は、室内の絵や彫像の人物を真似た仕草や姿勢をとることで、自分を魅力的に見せたり注目を集めたりすることがあったという。
映画は建物や室内装飾の細部まで、当時に忠実に再現してみせた。

「The Boy Next Door」の、番地で韻を踏む小気味よさ。
「Skip To My Lou」で、列になったり散り散りになったりして踊る若者たち。その間を縫うように動くカメラワークの面白み。
姉妹がコルセットを締めるシーンでの、リボンにレース、パステルカラーの可愛らしさ。
次女と踊る祖父が、クリスマスツリーの後ろに一瞬隠れたあと、本命の男の子とすりかわっている粋な演出。
魅力が細部に宿っている。
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