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眠れる森の美女のmaverickのレビュー・感想・評価

眠れる森の美女(1959年製作の映画)
4.3
59年公開のディズニーの不朽の名作。
呪いをかけられ眠りについた姫が王子のキスで目覚めるという話は、いつの時代も女の子の憧れ。女性はいつか出会うそんな素敵な相手との出会いを夢見て大人になってゆくのだ。

まず驚くのが美麗なアニメーションの美しさ。セル画の技術の凄さが半端ない。6年の歳月と300人のアニメーターを動員し、セル画の枚数は100万枚なんだとか。時代や技術が違うから単純比較するのはナンセンスだが、スタジオジブリの『もののけ姫』で約14万枚。そりゃ今観てもアニメーションの動きの滑らかさや美麗さに驚くわけだ。ディズニーの資金力と本気度が凄まじい。オーロラ姫のドレスが青とピンクに代わる代わる変化しながらの王子とのデュエットダンスのシーンの美しさなど、新作映画として上映しても絶賛されるレベルではないかと思う。

物語としては単純明快。ここはクラシカルな部分。美男美女が出会い、ハッピーエンドで結ばれるという王道のもの。森でお互いの身分を知らずに偶然出会うものの、互いに一目ぼれ。だが実は出会うべくして出会う二人で、それは運命的なものだった。オーロラ姫は美しく聡明で、王子は美形で勇敢な青年。愛の前にはどんな障害も消え去ってしまう。あまりにも美化されすぎな物語なのに、それをロマンチックに感じさせるパワーが本作にはある。これがディズニーマジック。女性にはこんな男性が現れてほしいなと思わせ、男性にはこんな女性と出会いたいなと思わせる理想の物語。いちゃもんつける人も、本当はこんな物語を心の底では願っているんじゃなかろうか。大人になってから観ると現実と比較してケチもつけたくなるだろうけど、子供の頃に観ると純粋に素敵だと思える物語。子供の頃に観ると思い出補正も強そうだ。

本作のヴィランを主人公とした『マレフィセント』で再度注目されることにもなった。圧倒的である邪悪な魔女のインパクトは凄まじい。マレフィセントが連れているカラスのディアブロが本作のマスコット的存在でもある。悪い奴なのに魅力は十分。お茶目な面もコミカルで何だか憎めない。オーロラ姫とフィリップ王子、馬のサムソン、そして3人の妖精と、マレフィセントとカラスのディアブロとのバランスが均等に取れているのも上手い。どちらが印象薄いということもなく、どちらも魅力である。

本作は公開当時は興行収入が低く、失敗作的な烙印を押されたのだとか。だがその後の再公開で人気を獲得。今や世界中に語り継がれる名作に。やはり良いものは必ず評価される。一つ一つの作品にしっかりと愛を注いでいるディズニーだからこそ。老若男女問わず愛される作品である。テーマソングが耳に残る名曲であるのも素晴らしい。名作です。
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