ピロシキ

風が吹くままのピロシキのレビュー・感想・評価

風が吹くまま(1999年製作の映画)
3.8
ケータイの電波が通じる高台へ移動するまでの道のり。物語に関係のない動きを、わざわざ何回も何回もご丁寧に見せてくれる(あの「友だちのうちはどこ」のジグザグ道のように)。一方、物語を動かす決定的瞬間はいつもカメラに写らない。もうすぐ死ぬ婆さんも、穴にブチ落ちる村人も、全く写らない。目に見えないものに気を取られている暇があるなら、風に揺れる草原を見よ、流れる川を見よ、ということか。日々せわしなく過ごしていた都会の男が何をするわけでもなくただ田舎の村にとどまっているだけの物語は、どうやらキアロスタミ流「生と死を見つめる」超大作だった。
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