イチロヲ

団鬼六 妖艶能面地獄のイチロヲのレビュー・感想・評価

団鬼六 妖艶能面地獄(1988年製作の映画)
3.0
生まれ故郷の村落に戻ってきた女子高生(柏木よしみ)が、家族の放蕩を垣間見ながら、自身の出生の秘密に触れていく。無垢な少女が大人の泥沼に足を踏み入れていく系統の、日活ロマンポルノ。団鬼六原作。ロマンポルノ最後のSM作品。

「生まれもった運の悪さ」に翻弄される少女と「女の娼婦性」に狂わされる男たちの、カオスな群像劇が繰り広げられる。「横溝正史のエロバージョンのような内容なんだろうなぁ」と思っていたら、本当にその通りになるのでビックリさせられる。

本作では、女優のヌードが引きの絵で描写されている。舞台美術に凝った絵作りなのだが、せっかく瑞々しい女体がそこにあるのだから、接写も多用して欲しかった、というのが本音。乱れた和服から発せられる、婀娜っぽさが希薄なところも残念。

とはいえども、民俗学のエロ要素や日本の古民家の雰囲気が好きな人には、ストライクな世界観といえる。なんだかんだ言いながらも、映像そのものはフォトジェニックで美しい。
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