三島由紀夫のための三島由紀夫による三島由紀夫が露呈する作品。
なんなんでしょうかこれは!笑
あえて自分の領域ではないところに挑戦する無謀な傲慢さ。
時代の寵児をもてはやしつつ、受け入れる懐の深さが映画界にも社会にもあったんでしょうね。
育ちの良さを隠せないインテリなのに、ダサいヤクザ役を三島がやるのです。
背も低くて顔も大きめ、台詞は棒読み、滑舌悪い、表情の付け方が…
ていうか立ち方ひとつとっても
本当にシロウト丸出し。
飲み物の注ぎ方、あれは何⁉️
ヒロインには大映の看板女優、誰でも指名していいよと言われて若尾文子を選択。
三島は監督の増村保造とは東大法学部の同窓生。
監督の演技指導がひどく厳しかったらしいです。
でも三島は不満を言わず、ケンカもせず頑張ったんですって。エライね。
ヘタだと彼を笑うのは簡単だけど、100年後もその名前と文学作品、生き様は日本から消えることはないだろう三島。
絶望と破滅の美学を持つ思想家。
ラストシーンはその表れなのか、彼のナルシシズムとコンプレックスが滲み出ている貴重な作品かと思いました。