浅野公喜

からっ風野郎の浅野公喜のレビュー・感想・評価

からっ風野郎(1960年製作の映画)
3.1
まさかのユキオ・ミシマ主演作。彼が出所したばかりのヤクザを演じ、好きな女性が出来たことで足を洗おうとする割とよく有るストーリー。

やはりユキオ・ミシマの演技云々で批判が多かったらしく、彼の小説における情感溢れる文章力とは対照的に確かに声のトーンが一本調子気味だったりしたのが気になる所ですが、それでも予想より演技は悪くない印象でした。演じたヤクザのキャラは大した活躍をするわけでもなく、ヒロインのアヤコ・ワカオを襲ったり(しかし何故か好かれる)堕胎を迫ったり殴ったり今では形骸化しつつある男尊女卑的男の美学を持っており、情けない感じでせめてもう少し感情移入させるシーンが欲しかった所。

それでも終盤の自分自身の心情や状況を具現化したようなエスカレーターのシーンや当時の街並みは印象的且つ新鮮でした。
浅野公喜

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