キッチー

魂のジュリエッタのキッチーのレビュー・感想・評価

魂のジュリエッタ(1964年製作の映画)
3.8
DVDについている参考資料を見るとフェリーニが作った8 1/2の女性版で、映画監督の内面を描いた8 1/2に対する、その妻の内面を描いた作品ということらしい。まさしくフェリーニとジュリエッタ・マシーナの夫婦の私映画という感じですね。

女性らしいカラフルな色彩の映像が続きますが、15年の結婚生活で生まれた夫との間の溝のようなもの、更に夫の浮気疑惑など、モヤモヤが溜まっていくジュリエッタの心の中を表現していく内容で、モヤモヤが伝染してくる感じでした。華やかな世界にいるので、普通の会社員と妻の感覚とは違って、自由人な感じがしましたが、彼女も自由を求めていたのかな~。男の側の一方的な理屈のような気もしましたが...

ジュリエッタの映画は今までモノクロしか観たことなかったし、少し滑稽な感じの役だったから、今回は随分違う印象でした。
それだけ、素に近いのかもしれませんね。

この映画の後、フェリーニ監督とジュリエッタは1971年に離婚したのですが、1966年の撮影中に別居した二人の気持ちを表しているのが分かる作品で、興味深かったです。
カトリックの国、イタリアには民法149条という離婚を禁止する法律があって、1971年に削除されるまで、死別以外離婚出来なかったらしいのですが、結婚生活が上手くいかなくなっても、離婚出来なかったという話だったようで、本当に厳しかったんですね。

ところで、離婚はしたけどジュリエッタは死ぬまでフェリーニ監督に寄り添っていたといいます。夫婦という形ではないけど、ジュリエッタの愛情の深さを感じました。
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