あらすじ
頑張れ、頑張れ!(切実)
決して人におすすめは出来ない。でもこの映画をけなす人は大嫌い。
ヴァンダム主演映画はあまたあれど、正直なところ一本も傑作がないのはご存じのことだと思います。僕もほとんどが金ローとかで見たのばかりで、映画館に行って見たのは一本もなし。たまにTSUTAYAで借りては、面白くもなければつまらなくもない話のネタにすらならないものばかりですよ。
でもね、この映画はすごい。本当にすごい。
確かにこれもご多分にもれず面白くはない。でも、ヴァンダムの、一人の男、というよりも一人の人間の生き様がヴァンダム渾身の演技で描かれている。
それは魂の叫び。
かつての映画スターが、自分の人生を振り返って、暗い過去を告白して、それに対して(ここがよいのだけれど)みっともなくて情けない言い訳をして、同情を誘おうとする。
親しい人にだけ告白するのとは訳が違う。
なぜならこれは映画。
不特定多数の誰かに、エンターテイメントとして見せるものなのだから。
この映画が自虐映画というのを抜きにしても、ヴァンダムはすでに過去の人で、代表作もなくて、演技も下手で、アクションもいまいちで、同業者からきっとバカにされてる人なのかもしれない。
でも、その暗い過去を、情けない言い訳をさ、役者としての、人としての、自分自身を全身全霊でこの映画にぶつけてきているのが画面越しから心に伝わる。心が震える。見た人全員に絶対に。
人の心を動かすものをエンターテイメントと定義するなら、この映画のヴァンダムは紛れもなく最高のエンターテイメントを魅せつけた。
そして、それを実現したのはヴァンダムの役者としての矜持だ。きっと。
でも、でも、この映画も大半のシーンが退屈なんだよ……なんでだよ……ちくしょう
何度も言いますが、おすすめできる映画というわけではないです。
でもいつか、ヴァンダムが間違って名作に出演し、神の気まぐれでアカデミー賞助演男優賞とか取ったら絶叫して喜ぶわ。
ヴァンダムさん、とりあえずキャスリンビグローあたりに土下座してなんとか役をもらってくれませんか?