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朱花(はねづ)の月のodyssのレビュー・感想・評価

朱花(はねづ)の月(2011年製作の映画)
1.0
【うーん・・・】

河瀬直美監督の映画は、よく分からないところがあるけど、それなりに面白いと長らく思ってきました。

だけど、『七夜待』を見て、どうかな、と思いました。どこかおかしくなっているというか、監督の作家性が悪い方向に向かっているように感じられた。

そして今回、この映画を見て、それが確信に変わりました。河瀬監督、もう少し考えてください。

この映画、何がダメか。恋のお話なのに、全然恋の雰囲気がないこと。もともと河瀬監督の映画では人物はあまり重要ではない、というか、風景の一部としてしか意味がないような作りになっている。監督がどの程度それに自覚的だったかは知りませんがね。

ところがこの映画では恋と三角関係を、風景とコトバによって表現しようとしている。いちおう人物も出てくるのではありますが、特に三角関係の要になるはずの女性に全然恋の雰囲気がない。いくら古代大和の恋模様をコトバで出したって、映像がそれを裏切っているのではね。

別の言い方をすると、この映画、三角関係の話だとは、コトバを抜いたら分からないでしょうね。よく分からない映画であることが河瀬監督の強みだったとすれば、コトバを入れたことでそれが失われてしまったのです。

うーん・・・
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