Takaomi

E.T.のTakaomiのレビュー・感想・評価

E.T.(1982年製作の映画)
4.0
物心ついたときから、毎週火曜の夜に家族で映画を観る決まりがあった。

みんなで布団に潜り込んでは、ジュラシックパークやバックトゥザヒューチャー、ウォーターワールドなど時にはジョーズやチャイルドプレイなどの刺激が強いものまで。

そこには今まで観たことない世界が広がっていて、言葉に表すことができないほど感動したのを今でも覚えている。

そんな今まで観てきた作品の中で、想い入れが強く、子供の時に感じたあの感動を思い出したくなると、真っ先にE.T.が思い浮かぶ。


ただ十数年ぶりに観て、わかったことはどれだけ大人になって感動しても、子供の時に感じたあの感動や面白みは二度と味わうことができないということ。

良い想い出は決して色褪せることはないので、あえて子供の時の印象をそのままに映画を観ないという選択肢もありかな。

といっても歴史に残る大作なのは何度観ても納得できるし、ETの可愛さ、愛おしさ、命の尊さすべてがここに詰まっている。

まさにE.T.の一番のポイントと言えば「子供だけの世界」ですね。

大人の顔がほとんど映らない演出や、
E.T.のずんぐりむっくりで甲羅のない亀のような可愛いとはいえない姿

そして物語の大半がエリオットの家の小さな世界の中で起こるので、大人には決して理解できない世界観を見事に表現できている。

それと同時にあえて大人に理解できないフォルムにすることで、見た目だけですべてを決め付け嫌悪感を抱く人々の差別や偏見も描いていると思う。

エリオットの母親も恐怖でE.T.から子供たちを遠ざけた。
子供の純粋な心こそ大切にしなければならない感情なんだと教えてくれる。

そしてこの映画のもうひとつのメッセージといえば、人は生まれてから大人になるにつれて様々な人、生物、ものなどから知識や愛情をもらい、必ず何かしらの恩恵を受けているということです。

むしろ、その人ひとりひとりの人間性や人生が子供の頃に受けた恩恵によって左右されると言っても過言ではない。

子供がまず最初に愛情や恩恵を受ける相手と言えば、両親だ。

ではもしその両親のどちらかがいなかったらどうなるだろうか。
どれだけ必要なはずの愛情や恩恵が失われるか痛いほど伝わってくる。

有名な話ではあるが、スピルバーグが自ら経験した両親の離婚がテーマになっていて父親の大切さを描いていると思う。

E.T.も地球上では右も左もわからなく、エリオットが父親である。

エリオットがやることを一つ一つ真似したり、言葉を覚えたり、心を通じ合わせるのをみるとまるで親子のような気持ちにさせてくれるし、子供は生きものたちと同じ目線にたってあげることがで来るので二人の友情関係も印象的だった。

ラストのE.T.との別れのシーンは父親と息子の別れを表現しているが、それ以上に心に残るものがあった。

個人的に一番好きなシーンは、E.T.がハロウィーンの時にエリオットの兄ちゃんをみて治してあげようとするところ、死んだはずのE.T.が息を吹き返し元気になりエリオットが嘘泣きをするシーンは何度観ても腹を抱えて笑ってしまう。

もしかしたら、今も近くにE.T.がいて誰かに助けを求めているかもしれない。

子供に観せたい作品です。
Takaomi

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