4/20_TOHO新宿#6
エリオットの決意
スピルバーグは本作のテーマを、彼自身が経験した「両親の離婚」であり、SFは表面的な要素にすぎないと語っているそうだ。エリオットがそれを乗り越えて大人になろうとする物語であり、ラストの決意に満ちた表情が素晴らしい。
これほど台詞に頼らない映画も珍しい。言葉の通じない異星人と少年の話なので、必然的に映像と音楽がほぼ全てを語っていく。まさに映画的なのだが、その分かなりのリテラシーが要求される。
ハロウィンの夜の飛行シーンは本作の白眉で、それまでのかなり小柄なエリオットとETの低い視点から、大俯瞰に転換する映像的カタルシス。また物語上においても、エリオットの人生観が「今ここ」への肯定に変わることを示唆するシーンであり、これが最後の選択 " stay here" に説得力を持たせていた。
同じスピルバーグの「未知との遭遇」(これはこれで粗削り感が好き)への返歌にもなっており、合わせてみると彼の作家性がより深く楽しめる。
<1982初公開版:4K素材上映>