七色星団

E.T.の七色星団のレビュー・感想・評価

E.T.(1982年製作の映画)
4.3
先日の金ローで久し振りに綺麗な涙を流して、更に手持ちの円盤で追いE.T.

40年近く経った今でも人の心を離さない魅力の源は、この映画か宇宙人との交流という体を取ってはいるけど、普遍的な事を描いていて誰もが感情移入しやすい構成となっているからでしょう。

主人公エリオットは本編中で兄妹、若しくは兄の悪友達との関係は描かれているけど、エリオット自身には友人がいないような描かれ方をしてる。また、自分の味方であった父親の不在(別居?離婚?)にどうしょうもない孤独を抱えてます。
そんな時に突如現れたE.T.を最初は迷い犬を保護するように接していたエリオットだけど、ヘンテコで突拍子もない行動をするこの奇妙な生物への思いが単なる好奇心から友情へと変わり、そして次第に父親の姿さえも重ねるようになる。
このエリオットの気持ちの変化もE.T.と徐々に距離が詰まっていく過程を丁寧に描いているから
「うんうん。分かるぜ、エリオット」
と、視聴者側も頷いちゃうんですよね。

本作の魅力を押し上げたのはE.T.のキャラクター設定・造形の素晴らしさにあるのは異論がないと思う。
公開当時にブサカワというワードがあったならまさに!という、子どもから大人まで誰もが愛さずにはいられないキャラクターを練り上げた人達、ホント天才。

忘れちゃいけないのは、妹ガーティのドリュー・バリモアや他のサブ登場人物。その誰もが例外なく”何処にでもいる普通の人達”を好演しているのも感情移入してしまう大きな要素。
しかしなんと言ってもエリオット演じるヘンリー・トーマスの演技が素晴らしい。
特にE.T.との2度の別れのシーン(最初はE.T.のタヌキ親父っぷりで笑わせますが)で見せた彼の姿には涙を禁じ得ません。
実際には着ぐるみであり、人形であり、ロボットでもあったE.T.に命を吹き込んだのは、まさにヘンリー・トーマスの演技あってこそだったんですよねぇ。

当時、地元の映画館では上映時間毎にフロア全体が立ち見で埋め尽くされ、階段になってた真ん中の通路に観客が座ってしまう程の過熱ぶり。
そして、エンドロールと同時に拍手が起こった初めての映画でもあった。
七色星団

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