さのすけ

アイアンクラッドのさのすけのレビュー・感想・評価

アイアンクラッド(2010年製作の映画)
4.0
駄作揃いの「TSUTAYAだけ」レンタル映画の中では個人的に最高傑作。史実に基づく20人対1000人の籠城戦。歴史好きの男の子が股間を熱くしそうな中世戦争スペクタクル。

好みが分かれる最初のポイントは徹底的なゴア描写だろうが、グロいのにはちゃんとした理由がある。ブリテンの騎兵は12世紀頃から鎖かたびらの上にコートオブプレートという金属板をつけた陣羽織を着用し始める。よって斬撃ではダメージを与えられず、戦斧や戦鎚といった大型武器で鎧ごと“叩き潰す”ような戦い方になる。これを映像で忠実に再現したら腕が吹き飛び顔面が破砕する地獄絵図になりました、というだけのこと。脳筋万歳!
それが嫌ならリドリー・スコットの『グラディエーター』みたいに刺したふりして誤魔化す映画で我慢してくれ…。

そして戦闘を生き延びた騎士たちにカメラが向けられる。顔面が裂けたまま呆然とする者。骨が折れていないからまだ戦えると強がる者。ちなみにこの男、不衛生な環境下での籠城戦で傷口が次第に壊死していく…。戦闘の過酷さを伝える描写が反戦映画並みであるが、籠城戦では糞や死体が投げ込まれたり水に毒を盛られたりと衛生面で苦労するので、この辺も当時の戦いを忠実に再現している。

テンプル騎士団の主人公トーマスは寡黙な男だが、説明台詞がなくとも世界史をしっかり勉強していれば彼の過去や苦悩がわかるはず。「誓いを守らなければ心が壊れてしまう」と吐露しながらも、愛する者や仲間のために何度も何度も立ち上がる姿はヒーローそのもの。

史実最悪といわれた失地王ことジョン王の暴君っぷりも印象的だが、彼が一瞬だけ自分の過去を語るシーンがある。王も王とて大変なんだなと同情してしまいそうになるのが本作のすごい所。 信念を持った者同士のぶつかり合いですよ。マグナカルタ!
(ハクナマタタ風に叫んでみた)