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ポエトリー アグネスの詩(うた)のmareのレビュー・感想・評価

4.0
詩を書く行為は日常にあるものを掬い美しく生まれ変わらせる行為。孤独な眼差しは世界を美しく切り取り、花や木の実から喜びを享受する。しかし詩を書くことで見える理想郷は彼女の思い描いた幻想。美しい現実などどこにも無く、劣悪な環境が災いして何の罪もない彼女は逆風を受ける。お金もなければ老化で言葉も失い始め、そんな状況で光を見出すように詩と向き合う姿はあまりにも儚い。全てを清算し詩が紡がれるとき静かな川のせせらぎだけが響き渡る。詩という芒洋としたものだからこそ霞む現実、輪郭が溶け出し直視することのできない幕引き。
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