けんむら

ファントム・オブ・パラダイスのけんむらのレビュー・感想・評価

5.0
自分の中で1位、2位を争う最高の映画。グラムロックのパイオニアで大好きなデビッドボウイが死んでしまったショックを癒すために再鑑賞。
デトックスのため長文でレビュー。
このファントムオブパラダイスはまさにグラム時代のデビッドボウイ的な官能的で幻想的なロックが堪能できるミュージカル映画。
才能と音楽への愛は溢れるほどあるが、顔の冴えないウィンスローが、悪徳プロデューサーのスワンに騙され自作曲を奪われ、2度と歌えない身体にされ、さらに恋した女性歌手フェニックスさえ奪われ、復讐するというオペラ座の怪人をロックにアレンジしファウストを混ぜたようなストーリー。
はっきりいって好きな人は本当に好きな映画だけど、ほとんどの人にはピンとこないかもしれない。だから、カルト映画としてここまで有名なのだけれども。
自分がこの映画が心から好きな理由の一つに"愛しているのに報われない哀しさ"を描いているからなんですよ。
主人公のウィンスローは心から音楽を愛していて、本当に努力して作った作品も極悪プロデューサーに奪われてしまう、彼が見た目が"スター"でなかったために....。そして自分の愛するフェニックスにさえも見向きもされず、彼女は1番憎んでいるスワンに騙され寝ているという報われなさ。
ラストのテーマソングも
"この世は地獄、生きてるだけ無駄、死んだほうがいいよ"なんていうお先真っ暗。
確かに、人生なんていくら頑張っても報われないことばかりで、顔がよかったり、コネがあったり、実力がなくてもハッタリきめてる図々しい人間が勝っていくことが多い。この映画はそのことをコミカルだけど、まざまざとみせつけてくるんです。陽気なロックとともに。
こんな風に一見すると、本当に救いがない映画なんですけど
自分はこの映画を観るたびに救われるんですよ。
何故ならウィンスローの音楽への愛とフェニックスへの愛はそんな現実を超越してしまっているからです。
フィンスローはスワンに音楽のため、フェニックスのために、負ける覚悟で立ち向かうんですよ。そこには見栄もなにもかなぐり捨てて、人を殺そうがモラルに反しようが、自分の愛だけを全うしようとする狂気的な人間ってものがあるんですよ。"報われなかろうがしったことか!俺は愛するもののためなら、どうなっても構わない!"という境地。
これを見せつけられちゃうと、自分の努力が報われようと報われなかろうとどーでも良くなってしまうんです。別に報われなくてもいいじゃないか!!ウィンスローは報われなかったかも知れないけど彼は精一杯生きた!!!って自分を励ませられる。だから、ものすごく救われる!
だから、この映画はカルト的に人気なんじゃないだろか!確かに音楽も映像もすごいんだけど
そんな映画、他にもあるんでしょ!
報われねぇ!ふざけんなぁ!って憤ってる人には是非観ていただきたい!
ある意味、ロッキーやレスラー並みに熱い映画ですよ!