エディ

ファントム・オブ・パラダイスのエディのレビュー・感想・評価

3.1
「オペラ座の怪人」や「ファウスト」などの古典的名作のオマージュに溢れたカルト的なロックミュージカル。極端なストーリーや人物設定はまさにカルト映画としか言い様がない。好き嫌いが極端に別れそうだが、自分はダメなほうだった。。。

主人公ウィンスローは天才的な作曲家だったが、おとなしすぎて日の目の浴びない日々が続いていた。そんな彼の才能に気付いたのは一大レコード産業のトップのスワン。スワンは詐欺的な条件で、ウィンスローの傑作カンタータを買い取ってしまう。

話が違うと気付いたウィンスローがスワンの邸宅を訪れるも、策略に嵌り逮捕され投獄されてしまい拷問を受けることになる。復讐のため脱獄するもプレス機に挟まれ悲惨なことに。そして、ウィンスローはスワンのパラダイス劇場に棲むファントムと化した。。。

オタクだが人が善い主人公がリンチされ、麻薬を忍ばされ投獄、刑務所で入れ歯にされ、脱獄するもプレス機に挟まれ顔が潰れる、ガードマンに銃で撃たれ恐ろしい形相になってしまう・・・。ここまでやるか?

「オペラ座の怪人」のオマージュだとすると、映画の主題はファントムとフェニックスの実らぬ恋のはずなので、主人公をファントム(怪人)にするためのここまでのシーンを盛り込むことに激しく違和感と嫌悪感を覚えてしまう。
スワンもロックのために魂を売っているので、これは「ファウスト」のオマージュだろう。なので、映画は様々な作品の主題が乱れこんでいてカオスな状態になっている。
要するに、ウィンスローとフェニックスの恋物語だけじゃなく、悪魔と取引したスワンの物語でもあり、ウィンスローがめちゃくちゃになる過程を面白おかしく描いたカルト映画でもあるのだ。

この猥雑は好みが別れると思う。別に主題を一つに絞る必要は無いけど、自分には全く違うジャンルの音楽を同時に鳴らされたような不協和音の連続に似た印象を覚えてしまった。

主人公ウィンスロー自体にさほど魅力を感じないし、かといって悪魔と取引したスワンの哀しみもきちんと描写されていないので、騒々しくカオスな割には残るものがなく思えた。

観終わると「疲れたな」と感じてしまった。
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