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ファントム・オブ・パラダイスのHKのレビュー・感想・評価

3.4
ブライアン・デ・パルマ監督によるロックミュージカル。「オペラ座の怪人」「ファウスト」などをモデルとしている。

ロック版オペラ座の怪人と称されるこの映画。ブライアン・デ・パルマ監督の映像テクニックがてんこ盛りのいうなればお祭り映画。僅か90分ながらも描かれているのは2時間強の映画でも十分扱えるであろうファンタジーやら寓話の設定が濃い内容となっている。

スプリットスクリーンやら360度回転。ブライアン・デ・パルマ監督らしいカットが…これもう何回言ったんだろうか。

しかしこの映画は、前半の展開はほぼ雑ながらも、勢いだけでなんとかまとめ上げるところはまだ若かったころのデ・パルマの粗削りながらの映画愛も感じ取れた。

最後は悪魔に魂を売り、醜い姿になったもの同士、くたばりながらも誰かに愛され死んでいくのを、周りは気づかずショーとして楽しむ構図は今の映画にも求められることなのだろうか。結局人間は過激さを求めると本当にとんでもないことが起こってしまっても気づかないということですかね。

ただ、最後の最後に使われたあの曲の日本語訳の歌詞が不愉快。後味が悪いとか云々よりかはただ不快。あの歌さえなければもっと好きになれたかもしれないのに。元々過激思想とかは好きじゃないけど、それを肯定的に捉えてしまうようなあのラストにはちょっと賛同できない。それとも皮肉っているのかな? 

デ・パルマの演出力は好きなのに、こんなどうでもいいメッセージ性で点数が低くなってしまった。かなり残念である。
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