京劇作品『覇王別姫』をめぐる歴史転変と栄光と失脚。
血を舐めながらものし上がってゆく少年時代から、舞台のうえで強烈なスポットライトを浴びるようになる青年時代。
絢爛な衣裳と化粧に目を奪われるが、文化も二人の関係も、戦争と文化大革命に引き裂かれてゆく。
あまりにも重い悲劇。憎しみと怒りの言葉が尽くされる瞬間にこそ、裏腹の愛が積み重ねられてきた時間について思う。泣いてしまうよ。
印象的だったのは、人物とカメラの間に「水槽」とか「炎」を挟んで撮る映像がたびたび見られたこと。そこに何が託されていたんだろう?
まだ観てない人に一つ言いたいことがあるとすれば、
11年ぶりに再会し共演することになったという冒頭の場面、その二人の思いについて、決して忘れずにこの激動の3時間を目撃してほしい。