特攻で散っていく早稲田出身の予備学生たちの青春群像劇。
はじまるやいなや戦闘中で回天のパージからはじまるというすごい構成。
潜水艦内部や、乗組員たちのやりとりの再現に力が入ってて、ひげ面高倉健というレア健さんが目立たない。
出撃し損ねた回天乗組員と、エンジンの不調で三度も特攻から戻ってきて懲戒処分になりそうな飛行機乗りと、海兵団上がりの真面目な飛行機乗り(彼だけ予備学生じゃない)、それと横須賀海兵団の教官と主要人物は四人。そのキャスティングがこれ以上ないほど決まっている。
軽佻浮薄な梅宮辰夫に対立する四角四面な千葉真一。それを取りなすのが特攻隊ものに異様な意気込みで望む鶴田浩二で、こんなの面白いに決まっているという布陣。
回天乗組員と神風特攻隊の志願兵を一カ所に集める牽強付会は最高ですね。終盤になると桜花も登場して、桜花に乗るくらいならちゃんと特攻させてくれという、独特の美学は右翼活動家を自認する監督ならではのものかね。左翼系映画監督はなんだかんだでけっこういるけど、右翼系は初めて見たかも。
ググるとこの監督さんは、早撮りで有名とのことなんだけど、それを感じさせない見事な撮影だった。
戦争美化を臆面もなくやってのけているのがかえって気持ちよかった。戦争反対にせよ、戦争賛美せよ、どっちつかずがいちばん気持ち悪いからね。
これは隠れた名作ですね。
面白かった!
メモ
作中で引いていたのは、
大木惇夫(1895-1977)による「戦友別盃の歌」の詩。
「言うなかれ君よ別れを」というフレーズが有名。戦友との別れといういまじゃピンとこないけど、当時はありふれていたできごとを歌っている。
それを諳んじる大学生たちと、こんなに決まっている引用、なかなかないです。