赤毛の天パがデブで不潔と苛められそうな要素を兼ね備えた人生ハードモードを選択した実在の作家ジャネットフレイムの伝記映画。ニュージーランドの大自然に囲まれた片田舎で双子として生を受けた彼女の片割れは生後間も無く命を落とし、後に姉と妹も事故で亡くす、貧しい鉄道員の家庭の苦しさは衣服や身体に露呈し、それは人生イージーモードの同級生たちの格好の餌食となる、彼氏とのデートのあれこれを階段の踊り場で語り合う彼女らを仰ぎ見る形その少し下の段でマルクスの資本論を語り合う、すべての始まりは幼い頃の詩の授業で褒められた過去、得手不得手なるものは大抵大いなる勘違いから芽を出し、対話する人間が極端に少ない者は何も言わずとも語りかけてくれる文学に傾倒していくという自然の流れ、不覚にもいつしかその芽は大輪の花を咲かせ人を呼び寄せる。いくつものアンラッキーにより弾き出された道の先に見返りのラッキーが用意されている、それは人生の不思議。ただ彼女の場合、その成功にありつくまでに8年間にも及ぶ精神病院への入院と愛する人の子供の堕胎というエクストラハードな展開が用意されているのだが。無垢であるが故の鬱、それを包み込む大自然、なんとも複雑で複雑な映画だった。