※古い映画なのでネタバレ込みで書いてます。
昔はシャマラン特有の恐怖を感じて見ていたはずだ。
そういう記憶が薄っすらと残っていた。
長い年月を経て、2度目の鑑賞にて再評価。
キャストが演技派揃いなので世界に引き込まれ非常に面白い。
一番良いと思ったのはブライス・ダラス・ハワード、後述。
ホアキン・フェニックス演じるルシアスが印象的。
劇中で2度、ヒロインの手を握ってリードする場面があるが、
普段の寡黙さ故に、語らず行動で示す男。実に男らしい。
彼は”勇敢”という言葉が語られるが、
本当に、このシーンは素晴らしい!
不安をかき消す正義感には感動させられる。
そして幸せの絶頂からの悲劇…(あるあるだけど)
エイドリアン・ブロディ演じるノアは不安定な愛を抱えていた。
恋は盲目とはよく言うが、ルシアスは気付いていたはずなのに。
それは許されると、幼馴染の友情を信じていたのかもしれない。
だからこそ、この中盤のシーンは悲しみが胸に突き刺さる。
本当に凶器が胸に突き刺さる。愛という凶器が。
そして、この次の瞬間から"勇敢"な魂はヒロインである
アイヴィーに継承される。彼女の表情は見事だ。
ブライス・ダラス・ハワードは、素晴らしい女優だと思う。
この後、人気が低迷気味だったけど、
ジュラシックワールドで戻ってきてくれて本当に良かった!
真相を知り、アイヴィーが年長者を哀れむ後半。
本当にこの村で暮らす年長者達は情けない。
この重要な役にウィリアム・ハートってのが良い。
言い分は理解できたが、こんな作られた世界に幸せはあるのか?
外の世界には邪悪な場所、邪悪な人々が住んでいると言い聞かせ、
終盤、この歪な世界から唯一出た先に出会う人物が
あまりにも善人というのも意外性があって面白い。
そして物語に救いを与える。
(出演しているシャマランの顔チラ見せは笑った)
見直してみたら、シャマラン特有の恐怖は薄かったといえる。
とにかく悲しみが全体を包み、勇気に涙する作品だった。
自分が住んでいる場所にも知らない場所はある。
大人になった今でも、あの先には何があるか分からない。
ヴィレッジのような集落が、そこにあるとしたら…
そんなことを考えてしまう映画でした。