碧SU

ヴィレッジの碧SUのレビュー・感想・評価

ヴィレッジ(2004年製作の映画)
3.8
※古い映画なのでネタバレ込みで書いてます。

昔はシャマラン特有の恐怖を感じて見ていたはずだ。
そういう記憶が薄っすらと残っていた。
長い年月を経て、2度目の鑑賞にて再評価。

キャストが演技派揃いなので世界に引き込まれ非常に面白い。
一番良いと思ったのはブライス・ダラス・ハワード、後述。

ホアキン・フェニックス演じるルシアスが印象的。
劇中で2度、ヒロインの手を握ってリードする場面があるが、
普段の寡黙さ故に、語らず行動で示す男。実に男らしい。
彼は”勇敢”という言葉が語られるが、
本当に、このシーンは素晴らしい!
不安をかき消す正義感には感動させられる。

そして幸せの絶頂からの悲劇…(あるあるだけど)
エイドリアン・ブロディ演じるノアは不安定な愛を抱えていた。
恋は盲目とはよく言うが、ルシアスは気付いていたはずなのに。
それは許されると、幼馴染の友情を信じていたのかもしれない。
だからこそ、この中盤のシーンは悲しみが胸に突き刺さる。
本当に凶器が胸に突き刺さる。愛という凶器が。

そして、この次の瞬間から"勇敢"な魂はヒロインである
アイヴィーに継承される。彼女の表情は見事だ。
ブライス・ダラス・ハワードは、素晴らしい女優だと思う。
この後、人気が低迷気味だったけど、
ジュラシックワールドで戻ってきてくれて本当に良かった!

真相を知り、アイヴィーが年長者を哀れむ後半。
本当にこの村で暮らす年長者達は情けない。
この重要な役にウィリアム・ハートってのが良い。
言い分は理解できたが、こんな作られた世界に幸せはあるのか?

外の世界には邪悪な場所、邪悪な人々が住んでいると言い聞かせ、
終盤、この歪な世界から唯一出た先に出会う人物が
あまりにも善人というのも意外性があって面白い。
そして物語に救いを与える。
(出演しているシャマランの顔チラ見せは笑った)

見直してみたら、シャマラン特有の恐怖は薄かったといえる。
とにかく悲しみが全体を包み、勇気に涙する作品だった。

自分が住んでいる場所にも知らない場所はある。
大人になった今でも、あの先には何があるか分からない。
ヴィレッジのような集落が、そこにあるとしたら…
そんなことを考えてしまう映画でした。
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