1936ベルリンオリンピックを記録した、レニ・リーフェンシュタールによる「民族の祭典」「美の祭典」の2部作からなるドキュメンタリー。
1964東京オリンピックについての書籍をいろいろ読んでいたら、市川崑の「東京オリンピック」が見たくなり、その予備知識として、市川が参考にしたという本作を鑑賞。
著作権が切れ、パブリック・ドメインとなっているので、YouTube等に転がっています。3〜4時間あるので、興味のある箇所だけ、つまみぐいしました。
冒頭、ギリシャのパンテオンをぐるぐる俯瞰するイメージビデオふう映像からはじまる、もったいぶった導入部はあまりにも長過ぎて閉口しました。しかし競技が始まってみると、ふつうによくできたスポーツ記録映画としてみることができます。
リーフェンシュタールはナチのプロパガンダ映画作家として、戦後は映画業界から干されました。ぼくもコワイ映画かとおそるおそる視聴にのぞみましたが、本作にかんしては、ヒトラーの登場シーン以外はさほどナチズム感はなく、意外とふつうに映像美を楽しむことができました。
基本的に、ハイライトとなる競技はハイスピードカメラでスローモーションに。あいだあいだに観客席や、選手の休憩時の表情をモンタージュではさむ手法。ここらへんは市川崑が参考にしたフシが伺えます。
競技のあとで映画用に撮り直した映像も多いらしく(ようするにヤラセ)、意図的な演出はかなり感じられます。したがって、ドキュメンタリーとしてはいかがなものか、という批判は、当時も今もあるようです。
とにかく長い映画です。しかしラストの「高飛び込み」競技は映画史に残る美しい映像。こんな完璧な構図のスポーツ映像は見たことありません。このシーンだけでも見る価値があります。