映画の味方あっつマン

ヒーロー・ネバー・ダイの映画の味方あっつマンのレビュー・感想・評価

ヒーロー・ネバー・ダイ(1998年製作の映画)
3.7
冷静なジャックと豪放なチャウは、性格こそ正反対だが、ともに凄腕の殺し屋として名をはせていた。香港闇社会の支配をめぐって対立する2大組織にそれぞれ雇われ、相手方のボスの首を狙っていた。組織の抗争が激化する中で、2人は奇妙な絆で結ばれていく——。

実際に観るまでは、ジャックとチャウのライバル同士が組織のために尽くして、お互いのことを認め合いながらも、対立して、どちらか、または、2人とも死ぬんだろうな、くらいに考えていた。

蓋を開けてみると、思っていたよりも随分と壮絶だった。特に中盤の2人の撃ち合い以降は、観るのが辛くなったほどだ。観る前は、この中盤の銃撃戦がクライマックスにくると思っていたのだが…この映画は、それだけでは終わらなかった…。

イケメン俳優に、ただ格好良いことをやらせても、心には響かない。作り手の美意識と、表現したい中身が無いと本当の意味で格好良くはならないだろう。本作は「男は背中で語る」という言葉のごとくセリフが少ないが、行動や表情から、2人の生き様や、根底にある考え方が伝わってくる。実に格好良い。

ジョニー・トー監督には作り手としての確たる美学があるように思う。それだけに、監督の美学に共感できないと、楽しめないだろう。