Keiseihhh

灰とダイヤモンドのKeiseihhhのネタバレレビュー・内容・結末

灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アンジェイ・ワイダ抵抗三部作の最終作。共産主義体制下のポーランドで自由と愛について、反共産主義について描いた傑作。共産党員を暗殺してしまったレジスタンスの一人マチェクが、政治的自由ではなく精神的自由、本当の自由を求めて悩み苦しむ様とその先を描いた物語。名シーンは余りに多いがやはりラスト、主人公マチェクがゴミ溜めで力尽き、命を落とすシーンだろう。ワイダは「共産主義体制下ですべての映画は検閲されていたが、その中で私は象徴主義という技法を取った」と言っていたが、このシーン、共産党員は反共の青年がゴミのようにゴミ溜めで死ぬのはそれに相応しいと取り、ワイダの方は最も純粋な自由・魂が共産主義下ではゴミのように廃棄されるという意味合いで描いたという。検閲を抜ける為のこの象徴主義的技法こそが、ワイダの作品をより意味深く、奥行きのあるものに仕立て上げている。またワイダは共産主義・共産党員=悪、という単純な二元論は持っておらず「本当の悲劇は善と善がぶつかった時に起こるのです」と述べている。悲しく皮肉にも共産主義下だからこそ芽生え、生まれた名作。
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