けーな

蒲田行進曲のけーなのレビュー・感想・評価

蒲田行進曲(1982年製作の映画)
4.5
昔観て好きだったけれども、今回、観直して、やはり、いい映画だなと改めて思った。そして、若い時に観たよりも、もっと泣けた。

撮影所を舞台にした映画愛に溢れる映画だと思う。ぶっ飛んだキャラの登場人物達に驚くけれども、結局は、みんな、映画を愛している人達なのだ。

風間杜夫が、いいなぁ、やっぱり。そして、銀四郎も。もちろん、現実だったら、あんな男はノーだけど、お話の中では、とても魅力的。最初観た時には、あの芝居臭い喋り方が、ちょっと…って思ったのだけれども、あれも、役作りの1つというか、それが、この映画の肝だから。

とにかく、普段は、虚勢を張っているけれども、実はナイーブな部分があるという、そんな銀四郎を風間杜夫が、見事に演じている。新撰組の衣装を着た姿と、あの顔には、痺れる。あの風貌は、美男子で、スターになれる素質があるのに、なり切れない、そんな男の悲哀を映し出している。現実だったら、もっと謙虚になりなさいって話だけどね。

そして、小夏を演じた松坂慶子も、はまり役。今観ると、若かったな。終盤の、撮影所の門の所のシーンが、映画で忘れられないシーンのうちの一つ。と言いながら、撮影所の門じゃなくて、踏み切りの前だと、ずっと思っていて、この何十年もの間に、記憶がすり替わっていたことに、我ながら驚いた。

そして、何より、やっぱり、陰の主役は、平田満。難しい役どころなのに、見事だったと思う。

それにしても、あの階段は、見るだけでも怖い。階段落ちしなくても、あそこを昇り降りして、演技する、しかも足元を見ないでってことだけでも、俳優さん達、凄いと思った。

最後のオチがいい。だから、みんな、芝居臭い喋り方してたんだって、最後に納得する。
けーな

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