deenity

蒲田行進曲のdeenityのレビュー・感想・評価

蒲田行進曲(1982年製作の映画)
4.0
誰もがきいたことがあるような名曲から始まる本作は、とにかく頭から賑やかでドタバタでベタベタな今後の展開を予想させる空気が満々。しかしその賑やかさが、ドタバタさが、ベタベタさ加減がたまらなくよかった。
冒頭の名曲を筆頭に、全体に流れるBGMが作品の雰囲気と非常にマッチしていて、昭和感丸出しではあるのだがそれがとにかく心地よい。

称賛すべきは音楽だけでない。キャラクターも個性豊かで素晴らしい。とくに主演の小夏、銀ちゃん、ヤスの3人。映画の主役に選ばれ才能があると思い込んでる絵に描いたような天狗の銀ちゃん。そんな銀ちゃんに憧れるも一生スポットライトを浴びることのないような大部屋のヤス。そして銀ちゃんを愛してやまない小夏。

初め銀ちゃんのわがままっぷりや小夏の高飛車な感じに「こんちくしょー!」とか思ってた。しかしそれでもペコペコ頭を下げるヤスに好感を覚え、そんなヤスに気が向き始める小夏との関係に「ヒューヒュー、いいぞいいぞ!」と思う。「これがこれなもんで」のヤスにはたまらなく愛着を感じ、しかし銀ちゃんやヤスの行動に「何がしてえんだよ!」と心配と憤りの混じった感情が湧く。
もうこの時点でこのドタバタ人情劇に乗せられてるやないかーい!主演の演技とキャラクターの秀抜さにまんまとやられちまったよ!

演技がいいと述べたばかりだがベタベタな展開とベタベタな演技であることには代わりないので悪しからず。細かいことを気にしずにただ人情劇を楽しむ。それでもいいんだよ。いいなと感じられる魅力に溢れているから。
そうは言ったそばから名シーンの階段シーン、迫力弱いよ奴さん。あれもどうせ本人がやったわけじゃないんだろ?グッと来るシーンが興ざめしちまうよ。まあいいさ、楽しめたんだから。
deenity

deenity