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狂い咲きサンダーロードの&yのレビュー・感想・評価

狂い咲きサンダーロード(1980年製作の映画)
4.5
【2015/6/3:テアトル新宿】
アメリカ映画なんか観てるとスラングの類が字幕ではほぼ「クソ」と訳されていて、日本語は罵りワードのバリエが少ないからなーと思ったりするけど、字幕担当者はサンダーロードのヤツらのボキャブラリーを参考にしたらいいんではないか。

「百姓!」って!農業をなんだと思っているの?!
「イモ!」って!デンプン質をなんだと思っているの?!
「日の丸チンドン屋!」って!まんまじゃねえかよ!!
(日の丸見てセンズリどうのこうのとか…、、笑)

ここで行われるのは近未来世界の激無秩序な暴力で、本来なら感情移入しようがなさそうなもんなのだけど、徹底してまともなヤツが一人も出てこないので、観ているこっちに秩序なんて考える隙を与えず、有無を言わさぬ強引さであちら側の世界に引っ張りこむ。子どもヤク中って設定に何の説明もないとかマジありえないんですが、終盤になるともう感覚が麻痺しちゃてるので特に何も感じません。どうやって武器買うんだよあいつどう見ても金ないだろとか、観終わってから気づく。騙されたというか夢みてたというか……。

ブレーキなんてかけられない身体でバイクにまたがるジンの姿は、彼の生きかたそのもの。わたし協調性ないヤツ嫌いなので、何度も言うが全く感情移入などできないはずなのに、なぜか走り出す彼には妙な清々しさを覚えるとともに、不覚にもやや感動してる、ような、気がする。彼は、最初から最後まで「ひとり」で、運命がそうしているようにも見えるし、彼自身が選択しているようにも見えるけども、とにかく徹底的に、長距離走者みたいに、孤独なのだ。そんなところがちょっと胸打つのかもしれない(感動モード)。

こう書くとハードボイルドな感じもするけど、中身は至って楽しい&ファンシー。関係ないけどヤンキーの持つサンリオ的ファンシーさって一体なんなんだろうか。

こういうのは映画館で、多くの人と空気感を共有してこそ、と思う。ちょっとした祭りに参加した気分。
革ジャン着て行かなかったことを、やや後悔。
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