ごてふ

東京暮色のごてふのレビュー・感想・評価

東京暮色(1957年製作の映画)
3.6
新宿・角川シネマにて。平日夜の部。単身の中高年30名弱と場内閑散。小津生誕115年記念企画。4Kデジタル修復版を大スクリーンにて再鑑賞。長生きはするものである。一般には不人気作と云われる本作だが、確かに暗い。弱年の生意気盛りには、巨匠の諸作が退屈で仕方が無かった。10年周期で主要諸作を見直すが、小津作品は馬齢を重ねるほどに味わいが深くなってくるから不思議である。知らぬ間に自身が撮影時の笠智衆や杉村春子の年齢を超えていることにも驚く。最新のデジタル技術で画質清澄。ベル様の小皺やセーターの毛玉まで良く見えた。無愛想な有馬稲子が実に良い。蘇ったスクリーンの人物たちは永遠を与えられ、普遍的な葛藤や苦悩、小さな幸せを噛み締めて、そして燦然と輝いていた。
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