東京暮色の作品情報・感想・評価

「東京暮色」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

いつものふんわりムードな感じじゃなくて、設定が冬だったり夜のシーン多めだったり、ライティングもいつもとは違う影を強く出すように作ってて、小津安二郎って悲しい話書くときにこんなにあからさまな演出するんだって思った。でもそのライティングがわりと好きだった。
この映画ってものすごく現実的な感じがする。どんなに悲しくても人生は続いていくよねっていう。割と悲しいシーンでもいつもの小津映画でかかってるような軽快な音楽がかかってるし、最後のシーンでお父さんが最初のシーンと同じ生活に戻る感じもこれが現実だなーって。身内が死んでも意外に学校に行ったり仕事してたりするもの。でもそれってなんだか悲しいよねっていうメッセージだったのかな?とも思います。
はじめてちゃんと?人妻してる原節子だったけどめっちゃ美しいっすね…なんか今までにはない官能的な感じがした。
早春以上に「これが小津作品?」と驚く。が、列車、葬式、孤独な父親、クラス会等々、小津作品におなじみの要素はきっちり盛り込まれている。
とは言え、勝手に清々しい作品を期待していたので、こんなに暗くて重い雰囲気とは思わなかった。
浦辺粂子が、早春とはまた違った雰囲気を出していた。

エデンの東の方が愛情深い感じ。こっちは綺麗事抜き。複雑で無力感がすごい

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暗い内容だった。次女の突然の死が、今までの丁寧すぎる展開とギャップがあって、意外だった。
世界中の名監督に影響を与えた小津安二郎監督の戦後作品の中では、例外的に暗く陰鬱な雰囲気が漂う人間ドラマ。妻に逃げられた父親とふたりの娘。姉は不幸な結婚に苦しみ、妹は男に騙されて妊娠していた。そこに駆け落ちしたはずの母親が戻ってくる。
スミー

スミーの感想・評価

3.5
いろいろあるよね
緑雨

緑雨の感想・評価

4.5
デジタル修復版にて再観賞。

最初から最後まで愛想笑い一つ浮かべない有馬稲子、延々と髪にブラシをかけながら、視線を合わせず原節子と殺伐とした会話を交わす姿の厳しさ。

妻に逃げられた父、幸せな結婚に失敗した姉、秘密を抱えた妹。それぞれスネに傷を持ち、お互いに強く出られず相手のフトコロに飛び込んでいけない。微妙な緊迫感漂う茶の間での会話も絶品。

麻雀屋、深夜喫茶、ボロアパート、支那そば屋、警察署…往時の大衆風俗と生活が垣間見られるのが興味深いが、そこで繰り広げられる人間の業の深さは現代と何も変わらない。
小津作品にしては暗すぎるとの評価も頷けるが、何のことはない、人間の業を描き続けてきたのが小津という作家ではなかったか。

捨てた娘に受け入れられることを都合よく期待してしまう母親。麻雀しながらおちゃらけたナレーション口調で陰口叩く悪友たち。必ずしも悪意がなくとも、時として人間は残酷な仕打ちをしてしまうもの。そんな冷徹な観察眼に裏打ちされた描写が観ていて痛かった。

軽妙なテーマ曲がノワールな世界には被せられるのが容赦ない。
153 2018

小津映画第48作
誰かしらが居ない家族を描いてきた小津作品の中、“不在”を詮索していく運びは小津版『エデンの東』に思えた。…しかし暗い。当初、明子役は岸恵子が予定されていたが『雪国』の撮影の為、有馬稲子に。
菩薩

菩薩の感想・評価

4.5
上手く行くのも人生であろうが、上手く行かぬもこれまた人生也と、人間そのものも生き様を全て補完するかの様に、憂いと悲しみ、そして悲劇に満ち満ちた一本。終始くすりとも笑わぬ有馬稲子を筆頭に、棘の様な言葉ばかりを吐く原節子、男衆は皆敗残兵の如く背中を丸め、無責任かつどこか無関心に振る舞ってみせる。小津が最後の白黒作品で描いたのは白と黒の黒、陰と陽の陰、光と影の影の部分であり、いやとは言え小津であるならば…と好転を期待する者全てを裏切り続け、登場人物のみならず観る者をも奈落の底に突き落として行く。女を無責任に孕ませた男はひたすら逃亡を続け、やっと合間見えた母は更に新たな男を作り、自殺まがいの事故に遭遇しながら死にたくないを連呼する娘は呆気なく死んでいき、新たな土地に向かう母の見送りに娘は最後までやって来ない。時計の針を巻き戻すかの様に飛び出した家に帰る事を決意しようが、そこに待っているのはまた愛なき家庭なのではないか、また一人、孤独な生活に戻った父を待ち受けるのは、娘を送り出した半分は喜びに満ちた世代交代的な死では無く、反省と後悔、そして自責の念に囚われた無念の死になりはしまいか。全てをやり直したい、そんな事が叶わぬ人生だからこそどう生きるべきか、そして何より、自分こそが己の人生の最大の責任者であると言う当たり前の事実から逃れる事は出来ない、小津がこの作品に込めた思いと言うのは、そんなところにあるのではないかと邪推が働く。ただひたすらに暗く重い作品だからこそ、ラーメン屋の名前の遊びが効いてくる、珍々軒、全ての悲劇の始まりはちんちんであると言うのに呑気なものである…。
終盤、ことごとく観客の期待を裏切る展開に、ある意味でゾッとするようなところがあるね。期待というのは、つまり明子の人生が良い方向へ転がること、または憎しみを抱いていた母と和解するきっかけができる、というものだったが、それはすべて打ち砕かれることになる。そのため非常に重苦しい作品だけど、東京物語と同様、一度は見て心に刻みたいね。自分が目を逸らしてしまいがちな苦しい出来事を直視させてくれるような、そういう意味での希望に大変満ちている。
それにしても、昔の不良ってのはくだらないことしか言わないね。小津作品によく出てくるけど、あんまりにつまらないことばかり言ってるからイライラするよね。
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