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ツリー・オブ・ライフのKUBOのレビュー・感想・評価

ツリー・オブ・ライフ(2011年製作の映画)
3.0
う〜ん、見終わって、またまた自分に「お疲れさま」と言いたくなった。よく寝なかった。偉い!

ブラッド・ピットとジェシカ・チャステインが微笑む明るいポスタービジュアルにつられて何の予備知識もなしにこれを見たら「ハァ?」以外言葉は出ないでしょうな。いや、パルムドールらしい難解な作品でした。

先日、テレンス・マリック監督最新作『名もなき生涯』の試写会の折に町山智浩さんもおっしゃっていたが、このテレンス・マリック監督は常に作品でキリスト教を描いている。

本作も聖書の抜粋から始まる。

テレンス・マリック監督は映像の監督だ。美しく、かなり実験的。ストーリーを追うのではなく、感じる映画。

この監督は普通には撮らない。やはりカメラ視点が低い。少し傾いてたり、逆さまに撮ったり、ふわふわ浮いてたり。ただ、これだけカメラが動くとカメラマンの存在を意識してしまう。

だが、この監督の作品は眠い! クラシック音楽をバックに、神への問いかけ、ささやき声のモノローグが続く。

冒頭、子どもを亡くした家族の悲しみにくれる様子から始まるが、すぐに画面はナショナルジオグラフィックチャンネルみたいな映像に。地球の創生? CGを交えたそれは恐竜の誕生から隕石の衝突による絶滅、生物の進化を追う。(この辺のところ、進化論は認めちゃってるのね)

いつまで続くのかと、そろそろ飽きてきたら冒頭の家族に戻る。優しい母(ジェシカ・チャステイン)と、厳格な父(ブラッド・ピット)。わりと平凡などこにでもある家庭の風景を延々と追うが、次第に長男が反抗期に入り、父に、家庭に不満を持ち始める。

どうやらこの長男はテレンス・マリック本人の投影で、この映画自体、彼の自伝的作品のようだ。

人は様々な誘惑や、不満や不幸が続いても「神」を信じていられるか(?)がテーマなのかしら?

息子が死んでも「なぜ、あなたは答えてはくださらない」って、元々、仏教徒の私には、そんな最初からいるはずもない「神」という概念に縛られて自問自答を繰り返す西洋諸国の方々が、不憫でなりませんわ。

ということで、『万引き家族』『パラサイト』と続く見やすくなった最近のパルムドールとは一線を画する、これぞ超難解パルムドールのお手本のような本作。もしご興味をお持ちなら、絶対に眠くならない体調の良い時に、どうぞ(^^)。



*点数は、いくらパルムドールでもわからんものはわからんから3.0です。
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