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おとうとのtjZeroのレビュー・感想・評価

おとうと(1960年製作の映画)
4.2
仕事一筋の作家の父、四肢のリウマチで家事が出来ない後妻の母、嫁き遅れている娘(姉)、甘やかされて非行に走る息子(弟)の四人家族。
前半は、お互いを思う姉弟の朗らかな関係を中心に、問題を抱えながらもなんとかギリギリ成り立っている家族の様子を陽性なタッチで描く。
息子が病に倒れてからの後半は、家族の負の要素をすべて己の身にとり込んでしまったかのような”おとうと”を中心に、暗いタッチながらも家族が再びつながり合い、再生していく様を描いてる。
前後半でガラッと変わるあざやかな展開…変わらないのは市川崑監督による思いっきりモダンでスッキリした画面構成、撮影の宮川一夫の仕事ぶりも秀逸。どの画面もシャープで美しさが際立っており、眼が離せない。
そんな美しさをもっとも体現しているのが主演の岸惠子。シャキッとしてて、男勝りで、でも品があって、色気もあって…とどんなに形容詞を並べても本作の画面の中の彼女の魅力には追いつかない気がする。女性は憧れるだろうし、男性は惚れざるを得ない粋なたたずまい。襷(たすき)の端を口でくわえてキュッと結ぶ仕草なんて、もうタマランって感じ。